非接触型体温計って本当に正確?

最近では、病院や職場、学校などでよく使われるようになった非接触型体温計
おでこにかざすだけで、数秒で体温が測れるのでとても便利ですよね。

でも、こんなふうに思ったことはありませんか?

「え、なんか体温が低すぎない?」
「昨日は高く出たのに今日は低い…」

今回は、非接触型体温計って本当に正確なのか?どういうときに誤差が出やすいのか?
そして、どんなふうに使えばより正確に測れるのかを分かりやすくまとめてみました。


非接触型体温計のしくみ

非接触型体温計は、赤外線センサーを使って、額やこめかみなどの皮膚の表面温度を測定します。
その数値をもとに、内部の体温(深部体温)を推定して表示しているんです。

つまり、測っているのは「皮膚の温度」であって、「体の中の温度」そのものではないということ。
この“推定”の部分に、どうしても誤差が出やすくなる要因があるのです。


誤差が出るのはどんなとき?

以下のような条件で、表示される体温にバラつきが出ることがあります。

  • 額に汗がある/化粧をしている
  • 測定前に寒い屋外にいた
  • 本体が急に温度差のある場所に持ち込まれた
  • 測定する距離や角度が安定していない
  • 額に髪の毛がかかっていた

また、体温が高めのときほど、実際より低めに出てしまうこともあります。


正しく使うコツ

非接触型体温計でも、次のような点に気をつけることで、より正確な測定が期待できます。

✅ 測定前に顔の汗や化粧をふき取る
✅ 屋外や冷暖房の効いた部屋に入ってすぐの測定は避ける
✅ 本体も室温に慣らしてから使う(15〜30分)
✅ 額の中央にまっすぐ、適切な距離で測る
✅ 毎回同じ条件で測定する

これだけでも、かなりの誤差は減らせます。


では、非接触型って結局どうなの?

非接触型体温計には以下のようなメリットがあります。

  • 衛生的(接触しない)
  • 測定が速い
  • 小さな子どもや高齢者にも使いやすい

一方で、以下のような注意点も。

  • 表示が安定しないことがある
  • 発熱時に正しく測れないことも
  • 診断には使えない(あくまでスクリーニング用)

まとめ

シーンおすすめの体温計
外出先や施設でのスクリーニング非接触型体温計(速さ・衛生)
日常の体調管理腋下式・耳式
正確な診断・記録が必要なとき医療用の直腸/舌下体温計

非接触型体温計は、「目安」としては非常に便利なツールです。
ただし、過信せず、正しい使い方で活用することが大切ですね。


参考文献

  1. Niven, D. J., et al. (2015). Accuracy of peripheral thermometers for estimating temperature: a systematic review and meta-analysis. Annals of Internal Medicine, 163(10), 768–777. PMID: 26571241
  2. Jefferies, S., et al. (2011). Accuracy of peripheral thermometry in estimating core temperatures among febrile critically ill patients. Critical Care and Resuscitation, 13(3), 194–199. PMID: 21880009

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