これから子どもとディズニーに行く機会も増えるだろうなと思い、アトラクションや映画の“元ネタ”を読んでいく企画。
今回は
ピノッキオの冒険 を読んでみました。
(岩波少年文庫)
最初に結論から言うと——
ディズニーと全然違う。思っていたよりずっと厳しい話でした。
ジェッペット爺さん、思っていたより武闘派
ディズニー版の印象だと、優しくて穏やかなおじいさんですが、原作ではかなり感情の振れ幅が大きい。
怒ると普通に手が出そうな勢いで、
「こんなキャラだったっけ?」と最初から違和感。
良くも悪くも、人間臭い存在として描かれています。
コオロギ、いきなり退場する
いわゆる“良心役”のコオロギですが、
序盤で普通に退場します。
しかもかなりあっさり。
ディズニー版の
ジミニー・クリケット をイメージしていると、ここでまず戸惑う。
ただしその後、また登場して忠告してくるあたり、
このキャラは“生きているかどうか”というより、良心そのもののような存在なのかもしれません。
白ツグミ、普通にかわいそう
ピノキオに忠告してくれる側なのに、扱いがなかなかひどい。
善意で関わったキャラが報われないあたり、
この物語の“優しくなさ”を象徴しているように感じました。
急に非人間キャラが増えてくる
読み進めていくと、途中から動物や不思議な存在がどんどん出てきます。
最初は現実寄りの話かと思っていたので、「そんな世界だったのか」と少し戸惑う。
ただ、それぞれが
- 忠告する役
- 騙す役
といった分かりやすい役割を持っていて、寓話的な構造なのだと理解すると納得できます。
詐欺に遭ったのに投獄される理不尽さ
金貨を騙し取られた挙句、なぜか投獄される展開。
**「この町の法はイカれてるな」**と正直思いました。
ただ、この理不尽さも含めて、
- 世の中は甘くない
- 油断すると痛い目を見る
という、かなり強めの教育的メッセージなのかもしれません。
蛇、何しに出てきた?
突然現れて、そして急に退場する蛇。
正直「何だったのか」と思う場面ですが、
ピノキオが勇気を出して相対したことで乗り越えた“試練”と考えることもできそうです。
ただ、それにしても展開はかなり急で、このあたりの雑さも含めて原作の特徴だと感じました。
反省するけど、すぐ忘れる
ピノキオは失敗すると反省はするものの、しばらくするとまた同じことを繰り返します。
このあたりはむしろ実に子どもらしい。
理想的な成長物語というより、
「なかなか学ばない存在」
として描かれているのが印象的でした。
それでも、ちゃんと人を思いやる場面もある
一方で、死んだ相手に対してこれ以上何かをするべきではない、と判断する場面もありました。
話の流れからすると少し意外ですが、
ちゃんと他者を慮ることができる
という点で、単なる問題児ではないと感じます。
遊びの国とロバの話が重い
楽しいはずの“遊びの国”が、そのまま破滅につながる展開。
怠ける → ロバになる → 酷使される
という流れは、この作品の中でも特に教育色が強い部分でした。
フカの中で、ようやく成長する
物語後半、フカ(巨大な魚)の中でゼペットと再会してからのピノキオは、それまでとは別人のように行動が安定します。
判断も的確で、しっかり悔い改めている。
ここに至るまでかなり遠回りしていますが、
「偉いな」と素直に思える変化でした。
フカとクジラの違い
原作ではピノキオたちを飲み込むのはフカですが、日本ではクジラのイメージで語られることも多い気がします。
これは
ピノキオ の影響が大きそうです。
連載作品らしい“ブレ”も感じる
訳者あとがきにもある通り、この作品は連載で書き継がれたもの。
そのためか、
- コオロギが再登場する
- 仙女の姿が変わる
といった“ブレ”も見られます。
このあたりも含めて、独特のテンポや展開につながっているのだと思います。
挿絵はちょっと脱力系
岩波少年文庫版の挿絵は、エドアルド・バルゲール氏によって描かれているらしい。いかにも古典的なタッチでかなりあっさりしています。
よくいえば味がある。
まとめ|優しくない世界で、ようやく成長する話
今回の整理としてはこんな感じです。
- 世界はかなり理不尽
- ピノキオは何度も失敗する
- それでも少しずつ成長する
ディズニー版のやさしい物語とは違い、
かなりスパルタな“道徳の物語”
という印象でした。
ただ、その分だけ最後の成長には納得感があり、
読み終えてみると「なるほど」と思える一冊でした。
ディズニー原作を読むシリーズ
- ① うさぎどん きつねどん
- ② 宝島
- ③ ピノキオ(本記事)
- ④ 人魚姫(予定)
→ いずれまとめ記事も作る予定です

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