『2時間で足が速くなる!』を今さら読んだ。川本和久先生に教わった走りを思い出す

トレーニング

遅ればせながら、福島大学の川本和久先生の著書『2時間で足が速くなる!』を読んだ。

実は、川本先生の走りの理論については、今回初めて知ったわけではない。むしろ、自分の陸上競技人生を振り返ると、かなり早い時期からその指導に触れていたことに気づく。

本を読みながら、昔の講習会や高校時代の練習風景を思い出した。

福島国体を控えた頃の講習会

中学生になる頃だったと思う。

当時、福島県では福島国体に向けた競技力強化が進められていた。その一環だったのか、川本和久先生と雉子波秀子さんが陸上競技の講習会を開いてくれたことがある。

そこで教わったのが、空缶を潰すような足の動きだった。

具体的な指導内容をすべて覚えているわけではないが、この「空缶を潰す」という動きは妙に印象に残っている。

高校に進学してからも、顧問の先生による伝達講習という形で、川本先生の理論を教わった記憶がある。おそらく当時の福島県内の陸上部では、こうした指導が広く共有されていたのではないだろうか。

さらに大学時代。川本先生はわが母校の体育の授業でも教鞭をとられており、陸上競技に限らず、体育の授業を通じてご指導いただく機会があった。中学、高校、大学と、振り返れば学生時代を通じて川本先生の指導に接していたことになる。

理論を知っていることと、実践できることは違う

今回読んだ『2時間で足が速くなる!』は、走り方の基本的な動作や身体の使い方を、比較的わかりやすく解説した本だ。

子ども向けの内容も多いが、陸上競技経験者が読んでも、改めて考えさせられる部分がある。

ただ、読んでいて思ったのは、理論を知っていることと、それを実際の走りの中で実践できることは全く別だということ。

空缶を潰す動きだって、言葉で説明できることと、走っている最中に自然にできることは違う。

そもそも、走るという動作は頭で考えすぎても上手くいかない。

昔教わったことを思い出すのはいいとして、それを今の自分の身体で再現できるかどうかは、実際に走ってみなければわからない。

また、この本が出版されたのは2008年。現在のスプリント研究や指導理論から見れば、すでに古くなっている部分もあるだろう。

もちろん、基本的な身体の使い方が時代とともにすべて変わるわけではないが、これを最新のスプリント理論として受け取るつもりはない。

自分にとっては、新しい知識を仕入れるというより、昔身につけたはずの動きを思い出すための本、という位置づけになりそうだ。

今の自分に足りないもの

もともと400m、800mを中心に走っていたが、現在は5000mを主な目標にしている。

以前はそれなりに走り込んでいたものの、家庭の事情もあって、最近は練習時間を確保するのも簡単ではない。

週4回走れればいい方で、平日は夜に30分程度、週末に少し長めに走るという生活になっている。

以前と比べて走力が落ちているのは当然として、特に気になるのがスプリント力の低下だ。

以前なら自然に出せていたスピードが出ない。速く走ろうとすると、どうしても力んでしまう。

5000mを走るうえでも、スプリント能力は無関係ではない。速い動きを維持する能力や、余裕を持ってペースを上げる能力は、長い距離にもつながっているはずだ。

以前、短時間でもスピードを刺激しようと、早稲田大学の研究を参考に200m×3本を走ったことがある。

そのときも、若い頃のトップスピードとの違いを実感した。気持ちは全力でも、身体が思うようについてこない。

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また、400m×3本のレペティションを行ったこともある。久しぶりに速い動きを出すと、普段のジョギングでは使わない筋肉に刺激が入る感覚があった。

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だからこそ、今回の読書をきっかけに、昔教わった動きをもう一度意識してみようと思う。

新しいトレーニングを次々に取り入れるよりも、まずは自分が昔できていた動きを取り戻すこと。

それが今の自分には必要なのかもしれない。

空缶を潰す感覚は、まだ残っているだろうか

川本先生は2022年に亡くなられた。

自分が学生だった頃に何度も接する機会があった指導者が、今ではもういないというのは、少し不思議な感じがする。

ただ、当時教わったことは、こうして何十年も経ってから本を読むことで、また思い出すことができる。

以前、高校時代に出会った『リディアードのランニング・バイブル』を大人になって読み返したことがある。

昔読んだ本や教わったことが、時間を経て違った意味を持ってくるのも、長く走り続けているからこその楽しみなのかもしれない。

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陸上競技は、知識だけでは速くならない。結局は自分の身体を使って、繰り返し動きを身につけていくしかない。

今回の読書をきっかけに、少しずつ昔の動きを確認してみようと思う。

中学生の頃に教わった空缶を潰す動き。

果たして、今の自分の身体はまだ覚えているだろうか。

まずは実際に走って確かめてみたい。

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