ディズニーランドで見かけることはあっても、実はディズニー映画の『メリー・ポピンズ』はまだ観ていません。
私が知っていたのは、傘で空を飛んでくる、ちょっと不思議な女性という程度。
「上流階級っぽくて、少しツンとした感じの人なのかな」くらいに思っていました。
そこで今回、P・L・トラヴァースの原作、**『風にのってきたメアリー・ポピンズ』**を読んでみました。
結論から言うと……
思っていた以上に不思議で、思っていた以上にツンとしていて、そして思っていた以上にキャラが強い人でした。
いきなり就職面接でやり込める
メリー・ポピンズのキャラクターが強烈です。
バンクス夫妻が子どもの面倒を見てくれるナニーを探しているところに、東風に乗ってやってきます。
普通なら、
「子どもが好きです」
「こういう経験があります」
などと自己PRするところでしょう。
ところがメリー・ポピンズは、そんなことをしません。
むしろ、
「私を雇うんですよね?」
くらいの勢い。
就職面接の段階から、すでにこちらが面接されているような感じです。
「この人、キャラ強いな……」
と思いました(笑)。
ただ、魔法使いのような不思議なキャラクターだということは知っていたので、そこは意外とすんなり受け入れられました。
いきなり絵の中でお茶をする
序盤で特に「おっ?」となったのが、絵画の中に入ってお茶をする場面。
いや、何の説明もなく普通に絵の中に入るんですよ。
「そういう世界なのね」と受け入れるしかありません。
メリー・ポピンズ自身も、特に驚いていません。
動物とも普通に話します。
さらに、この作品では赤ちゃんまで動物と会話できます。
子どもたちが成長するにつれて、そうした能力を失っていくという描写もあります。
子どもという存在そのものを、まだ大人の世界に完全には染まっていない不思議な存在として描いているようにも感じました。
こういうところは、洋の東西を問わず昔話や児童文学に通じるものがありますね。
動物とは仲良しなのに、人間にはツンツン
メリー・ポピンズは、人間相手にはかなりツンとしています。
子どもたちにも決して甘くありません。
ところが、動物にはずいぶん親しげ。
動物と普通に会話できるだけでなく、動物たちとの間に自然な信頼関係があります。
「人間にはあんなにツンツンしているのに、動物とは仲良いんだな」
と思ってしまいました。
ただ、読み進めると、単に冷たい人というわけではないことも分かってきます。
彼女は自分がすると言ったことは、ちゃんとする。
そして最後のオールヴァオールの件などを見ると、かなり情のある人物でもあります。
だからこそ、別れの場面では、
「また会う日が来るのではないか」
と思わせるだけの説得力があるんですよね。
メリー・ポピンズは結局、何者なのか?
これが読んでいて一番気になったところです。
方位磁石の話では高貴な出自を思わせるような雰囲気が出てきたり、動物と親しいどころか、蛇と親戚のような関係があったり。
メリー・ポピンズ以外にも、どうも普通の人間とは違う存在がいるように感じられます。
「魔法使いなのかな?」
「どこか別の世界の人なのかな?」
「そもそも普通の人間ではないのでは?」
いろいろ考えたくなります。
ところが、本人はほとんど何も説明してくれません。
むしろ、こちらがそんなことを考えていること自体が不思議だと言わんばかり。
そして読了した今でも、私はメリー・ポピンズの正体を知りたいような、知りたくないような気持ちです。
今のところは、知らない方が勝っています。
この人は「正体不明」であることそのものが魅力なのかもしれません。
マイアとの再会
終盤に出てくるマイアとの場面も印象に残りました。
そして何より、
「マイアって名前、なんか聞いたことあるな……」
と思った自分に驚きました。
ペルソナ2以来です(笑)。
最後にメリー・ポピンズが涙を見せるところもあります。
なぜ泣いたのかについては、いろいろな解釈ができそうです。
メリー・ポピンズ自身の過去に触れる何かだったのかもしれません。
ただ、今回はそこを無理に解釈する必要はないかなと思いました。
この本はあくまでバンクス家の子どもたちから見たメリー・ポピンズの物語だからです。
子どもたちから見れば、目の前に突然現れて、不思議な体験をさせてくれて、そしていつの間にか去っていく。
「結局あの人は何だったんだろう?」
くらいでいいのかもしれません。
子どもたちはこれからどうなる?
今回、原作を読んで一番気になったのは、実はメリー・ポピンズの正体だけではありません。
バンクス家の子どもたちは、これからどう成長していくんだろう?
ということ。
『風にのってきたメアリー・ポピンズ』では、子どもたちの目を通して、不思議な出来事が次々と起こります。
でも当然、子どもたちはずっと子どものままではありません。
メリー・ポピンズ自身が何者なのかを追いかけるより、子どもたちがこれからどんな経験をして、どんな大人になっていくのかの方が気になってきました。
続編もバンクス家が舞台になるようなので、これはぜひ読んでみたいと思います。
ディズニー映画はまだ観ていません
ここまで読んでおいて何ですが、私はまだディズニー映画の『メリー・ポピンズ』を観ていません。
今回はあえて、映画を観る前に原作を読んでみました。
なので、私の中にあるメリー・ポピンズのイメージは、ディズニーランドでお見かけした姿と、この原作だけです。
原作の彼女は、
- とにかくキャラクターが強い
- 人間にはかなりツンとしている
- 動物とは仲がいい
- 子どもにも甘くない
- 不思議なことをしても説明しない
- 自分のことはほとんど語らない
- それでも、ちゃんと情がある
という、なかなか強烈な人物でした。
ディズニー映画では、この人物がどんなふうに描かれているのか。
原作を先に読んだ今だからこそ、映画を見るのが楽しみです。
ウォルト・ディズニーは、どうやって映画化したのか
そして、原作を読んでからもう一つ気になっている作品があります。
それが、2013年の映画**『ウォルト・ディズニーの約束』**です。
この映画は、ウォルト・ディズニーがP・L・トラヴァースの『メリー・ポピンズ』を映画化しようとする過程を描いた作品です。
トラヴァースは原作への思い入れが強く、映画化には簡単には首を縦に振りませんでした。
原作を読んでみると、
「そりゃ、このメリー・ポピンズを映画にするなら、いろいろ揉めそうだな……」
という気もします(笑)。
原作を読む → ディズニー映画を観る → 『ウォルト・ディズニーの約束』を観る
この順番で楽しんでみようと思います。
原作者とウォルト・ディズニーが、どんな作品を作ろうとしていたのか。
映画を見る前から、そこにも興味が湧いてきました。
まとめ
『風にのってきたメアリー・ポピンズ』は、古い児童文学なので、現代との年代差や海外作品ならではの文化の違いもあります。
それでも、
不思議なものを不思議なまま受け入れる楽しさ
があります。
そして何より、
メリー・ポピンズというキャラクターが強い。
ツンツンしているのに、冷たいわけではない。
人間にはそっけないのに、動物とは仲がいい。
何でも知っているようなのに、自分のことはほとんど語らない。
そして、時々見せる人間らしさ。
正体を知りたい気持ちはあります。
でも、今はまだ知らないままでいてほしい。
そんな不思議な魅力のある一冊でした。
そして私は、続編も読んでみようと思います。
その前に、まずはディズニー映画の『メリー・ポピンズ』を観てみます。

『ジャングル・ブック』の原作記事もどうぞ。

『ピノッキオの冒険』の原作記事はこちら。


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